よろけた躯を、節の浮いた手が抱き留める。
「見学者が増えたようだな」
「……は、離して……っ」
逃れようと藻掻く静の腕を後ろ手に捕らえて、佐治は墨津を振り仰いだ。
「ちょうどいい。お前も手伝ってくれ。緊縛風味も乙なものだ」
「いや……ぁ」
軽く頷いた墨津に、ばたつく足を取られ、二人がかりで宙に担ぎ上げられた。
天井が近づき、波形に揺れる視界に、一瞬、好奇心に顔を輝かせた新妻の顔が過ぎる。
「……ひゃっ」
ばさりと乱れたシーツの上に投げ出され、身を起こす暇もなく手首を頭上で絡め取られた。
「墨津……」
心を許しかけていた監視役は、表情のない冷たい顔で静を見下ろしていた。
「そのまま押さえていろ」
墨津に指示を飛ばす佐治の指が、シャツのボタンにかかる。
式の名残のドレスシャツのボタンを、一つ、また一つと外されていく。
「ああ、綺麗な肌だ。まさに深窓のご令嬢だな」
必死で顔を背けても、耳朶を塞ぐことなど出来はしない。
「手触りも最高だ。最高級の絹のようになめらかで、染み一つ無い。まさに処女地だ」
感極まったように大きく息を吐いた佐治の硬い掌が露わになった胸部に置かれ、ねっとりと撫でまわされて吐き気がこみ上げる。
ざっと総身に鳥肌が立った。
「この初々しさがたまらない。初物というのは本当らしいな」
佐治の言葉の意味を認識した途端、南国の思い出がずきんと胸を貫いた。
身体の奥底に染みついてしまった男の息吹がありありと蘇り、与え奪い合った官能の追憶に包まれる。
僕は、もう……。
「ちがっ……」
純潔を否定しようとした口を、がっしりした手で塞がれた。
「……静様」
漆黒のガラスを通しても分かる鋭い視線が突き刺さる。
あの夜も、あの夜も、貴方が男としてきたことはみんな知っている。
十分楽しんだはずでしょう?
だからもう覚悟を決めて、佐治に媚びを売りなさい。
貴方に出来ることは、そのくらいなのだから……。
墨津の無言の叱責に打ちのめされ、全身からふっと力が抜ける。
「さあ、こちらも見せてもらおう」
肌の感触を楽しんでいた佐治の手がベルトにかかる。
「……っ」
墨津の手の下で、静は鋭く息を飲み込んだ。
花嫁は一つだけ古い物を身につけると幸せになれるそうだよ。
新郎にも当てはまるかな?
衣替え最中の控え室にふらりと現れた玲哉の手に、光沢のある美しいベルトが握られていた。
ヨーロッパで特別にオーダーしたそれは従兄弟の気に入りの品で、頻繁に身につけていたのを見覚えていた。
温かな心遣いが嬉しかった。
でも……。
玲哉は全て知っていたのかもしれない。
このベルトを外すのは、誰なのかを……。
「ひぃ……っ」
乾ききった窄まりをこじ開けられた静の口から、抑えきれない悲鳴が溢れた。
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「見学者が増えたようだな」
「……は、離して……っ」
逃れようと藻掻く静の腕を後ろ手に捕らえて、佐治は墨津を振り仰いだ。
「ちょうどいい。お前も手伝ってくれ。緊縛風味も乙なものだ」
「いや……ぁ」
軽く頷いた墨津に、ばたつく足を取られ、二人がかりで宙に担ぎ上げられた。
天井が近づき、波形に揺れる視界に、一瞬、好奇心に顔を輝かせた新妻の顔が過ぎる。
「……ひゃっ」
ばさりと乱れたシーツの上に投げ出され、身を起こす暇もなく手首を頭上で絡め取られた。
「墨津……」
心を許しかけていた監視役は、表情のない冷たい顔で静を見下ろしていた。
「そのまま押さえていろ」
墨津に指示を飛ばす佐治の指が、シャツのボタンにかかる。
式の名残のドレスシャツのボタンを、一つ、また一つと外されていく。
「ああ、綺麗な肌だ。まさに深窓のご令嬢だな」
必死で顔を背けても、耳朶を塞ぐことなど出来はしない。
「手触りも最高だ。最高級の絹のようになめらかで、染み一つ無い。まさに処女地だ」
感極まったように大きく息を吐いた佐治の硬い掌が露わになった胸部に置かれ、ねっとりと撫でまわされて吐き気がこみ上げる。
ざっと総身に鳥肌が立った。
「この初々しさがたまらない。初物というのは本当らしいな」
佐治の言葉の意味を認識した途端、南国の思い出がずきんと胸を貫いた。
身体の奥底に染みついてしまった男の息吹がありありと蘇り、与え奪い合った官能の追憶に包まれる。
僕は、もう……。
「ちがっ……」
純潔を否定しようとした口を、がっしりした手で塞がれた。
「……静様」
漆黒のガラスを通しても分かる鋭い視線が突き刺さる。
あの夜も、あの夜も、貴方が男としてきたことはみんな知っている。
十分楽しんだはずでしょう?
だからもう覚悟を決めて、佐治に媚びを売りなさい。
貴方に出来ることは、そのくらいなのだから……。
墨津の無言の叱責に打ちのめされ、全身からふっと力が抜ける。
「さあ、こちらも見せてもらおう」
肌の感触を楽しんでいた佐治の手がベルトにかかる。
「……っ」
墨津の手の下で、静は鋭く息を飲み込んだ。
花嫁は一つだけ古い物を身につけると幸せになれるそうだよ。
新郎にも当てはまるかな?
衣替え最中の控え室にふらりと現れた玲哉の手に、光沢のある美しいベルトが握られていた。
ヨーロッパで特別にオーダーしたそれは従兄弟の気に入りの品で、頻繁に身につけていたのを見覚えていた。
温かな心遣いが嬉しかった。
でも……。
玲哉は全て知っていたのかもしれない。
このベルトを外すのは、誰なのかを……。
「ひぃ……っ」
乾ききった窄まりをこじ開けられた静の口から、抑えきれない悲鳴が溢れた。
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