R18創作BL小説ブログです。性表現を多分に含みますので、18歳以上の方のみ、ご覧になって下さい。

(R18BL)缶コーヒー第1話
 東京タワーを遠くに望む雑居ビル十階の居酒屋では、つまみの載ったテーブルを囲んで、にぎやかな同期会が盛り上がっていた。
「……それにしても、同期同士で結婚した奴って、多いよな」
「ま、相手はデパガだし、絶対的に可愛い女の子も多いし、こう考えると、いい就職先だったよ。なあ、中原」
 話を振られた東京に出張中の中原悠司は、少し酒がまわりうっすらとピンクに染まった色白の顔で、曖昧に笑った。

 僕の恋人は男性で、なおかつ外商の担当顧客で、しかも一週間の半分ぐらいは彼の腕の中で眠っているんだ、なんてことは口が裂けても言えなかった。

 厳しい研修合宿を一緒に乗り切った同期たちは、みな仲が良く、何かの口実を見つけては飲み会を開いていた。今日の口実はもちろん中原の出張で、首都圏勤務の同期たちが何人か集まった気の置けない本音で語れる席だったが、それが今の中原には苦痛だった。

 週の半分は彼を抱く男性、柏木晃彦を好きな気持ちに嘘はなかったし、後悔もしていなかった。
 ただ、他人の前でどうどうと公表できないことであるということが、切なくやるせなかった。

 2次会はカラオケで、場はいよいよ盛り上がり、誰と誰とが付き合っているなどの暴露話や、ここで勝負を決めようというのか、ターゲットを決めての同期女性へのアプローチも露骨になってきた。
 どうしても入り込めないものを感じて、中原は幹事に断って、その場を辞した。

 東京の街は12月に入ったばかりだというのにすっかりクリスマス色に染められ、きらきらと光るイルミネーションの下を、腕を組み身体を寄せ合った恋人たちが幸福そうに歩いている。
 中原はコートのポケットに手を入れて首をすくめると、長めの黒い前髪の下の大きな二重の目を路上に落として、宿泊先へと足を速めた。

 一昨日別れたばかりだというのに、もう柏木が恋しかった。
  
 ビジネスホテルの実用本位の簡素な室内では、一緒に長期出張中の課長が、ベッドの中で鼾をかいていた。
 起こさないよう気をつけて、自分のベッド横のライトの光源を小さく絞り、携帯電話を取り出す。
 今、午前零時を少しまわったところだ。まだ仕事中か、それとも疲れて横になっているかもしれない。
 声が聞きたかったが、柏木に電話しかけた指を止めた。
 あと、たった2日間の辛抱だ。
 中原は大きく息を吐くと、シャワーを浴びるため腰を浮かせた。

 ホテル備え付けの浴衣を身につけてベッドに入ろうとした時、突然、部屋のドアフォンが鳴った。
 時刻は一時を過ぎている。
 気のせいかとも思ったが、念のためドアまで行き、覗き穴から廊下を覗いてみた。

 見間違えようもない切れ長の目を持つ端正な顔が、レンズで拡大されて目の中に飛び込んできた。
「……柏木さんっ」
 中原は慌てて、ドアを開けた。
 いつもながら仕立ての良いイタリア製のコートを見事に着こなした柏木が、首にマフラーをかけて立っていた。
「どうして……」
「東京支社の話があって、こっちに来ていたものだから。ちょっと君の顔が見たくなったんだよ」
 柏木は小声で囁き、それから、そっと唇を中原に重ねた。柑橘系のトワレが香った。
「……もう、行くよ。おやすみ」
 中原の髪に長い指を刺し込み、くしゃりと掻き乱すと、柏木の姿はドアの向こうに消えた。

 中原は信じられない思いで立ち尽くしていた。
 指で唇をなぞると、そこは愛する人に触れられた喜びに熱く火照っていた。
 今のは夢じゃない。

 中原は浴衣の上にコートを羽織ると、急いで靴を履き柏木を追った。
 エントランスを出た所で見回すと、少し先の歩道に、柏木の長身の後姿をみつけた。そのままどこか遠くへ柏木が行ってしまいそうな気がして、懸命に駆けて追いつき、腕に縋った。
「……もう少し、一緒にいたい」
 息を切らして訴える中原の身体を抱き寄せて、柏木は微笑んだ。

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(R18BL)缶コーヒー第2話
 冬の空気は冷たく澄み渡り、星がまばらながらも冴え冴えと輝いている。
 深夜の公園は人影もなく、大通りを隔てた街の喧騒だけが、微かに風に乗って流れてきていた。

 中原はコートの前を掻き合わせて、寒さにぶるっと身体を震わせた。隣に立っていた柏木が、ここで待っているようにと言い置いてどこかへ消え、すぐに何かを手に帰ってきた。
「ほら、これで温まりなさい」
 手渡された缶コーヒーから、掌にじんわりと温かさが伝わってくる。
 公園灯の下のベンチに場所を移し、二人で並んで座った。 
 柏木はマフラーを外すと、片方の端を中原の首に回してくれた。マフラーで柏木に繋がれた様で嬉しくなり、中原は柏木の肩に額を押し付けた。

「東京支社、おめでとうございます。お父様の会社にひとつ近づきましたね」
「……そうだな」
 柏木の浮かない声が聞こえた。
 いい話のはずなのに、何か変だな。
 中原は柏木の顔を見上げた。
 柏木は眉間を寄せ、じっと公園の暗闇を見詰めていた。
「……悠司」
「はい」
「今、ここで、……抱いても?」
「……はい」

 柏木に手をひかれて、中原はベンチ裏の茂みに入って行った。小枝が生い茂った低木の茂みを抜けると大きな木の根元に小さな空き地があり、木々を通した公園灯の光がぼんやりと枯れ草を照らしていた。
 太いごつごつした木の幹に背中を押し付けられて、激しく唇を求められた。 長い指が髪を狂おしく掻き乱し、舌が口腔を蹂躙する。角度を変えながら、舌をきつく吸われ甘噛みされて、飲み込みきれない唾液が溢れ首筋を伝った。 柏木がそれを追いかけるように喉元を舐め、浴衣の胸元を割り開き、頭が下に落ちていく。
「……あっ」
 柏木の唇に胸の小さな突起を吸われて、中原は白く甘い息を吐いた。
 手が伸びてきてもう一方の粒を指でつまみ出すように刺激される。
「んんっ……」
 左右を同時に責められ、中原は身体を震わせた。
 柏木に触れられた所から熱が生まれて身内を駆け巡り、いつしか寒さを感じなくなっていた。

 柏木の手が浴衣の裾を大きく開き、腿をざっと撫でた後、下着にかかった。足を上げさせられて布が抜き去られる。
 冷たい外気が剥き出しの下半身を嬲っていき、外で曝す痴態に対する興奮といや増す愛撫への期待に、すでに中原の茎は先走りを漏らし頭を擡げていた。

 柏木が自分の前をくつろげて自身を取り出すと、中原の物に重ねた。
 二つの熱い昂ぶりが、柏木の長い指を持つ手の中にまとめて握られる。
「あ……」
 濡れた先端が密着している様はあまりに淫靡で、中原は頬を火照らせて目を逸らした。
 中原のぬめりの助けを借りて、柏木の手がゆっくりと上下に動き出す。
「……はぅ」
 柏木の硬い昂ぶりを敏感な裏側にまざまざと感じて、中原は熱い吐息を漏らした。

 中原の先端からは、次から次へと先走りが溢れ、柏木の手を濡らした。
「君、本当にいやらしい身体になったね」
 耳朶を優しく噛みながら、柏木が耳の中に囁いた。
「……だ、誰のせいだと、……あっ」
 柏木が中原の手を取り、昂ぶりと一緒に握りこんだ。

 熱く滾り脈動する熱い塊を掌に感じて、中原はうろたえた。
 そこはどくどくと脈打って、柏木と中原の手の中でぴったりと寄り添っていた。
 まるで柏木と自分の生命そのものを、手に包み込んでいるようだった。

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